「ドメイン」とは、あらゆるウェブサイトに必要な、いわばオンライン用の住所です。家を建てるときに住所が必要なのと同じように、ウェブサイトにもインターネット上で見つけてもらうための「住所」が必要です。その住所が「ドメイン」です。ドメインのおかげで、ユーザーは特定のウェブサイトにアクセスできます。WebサイトであればURLの末尾、メールアドレスであれば@以降の文字列が、ドメインにあたります。
ドメインはブランドのアイデンティティを反映するものであり、SEO対策やブランド構築において、大きな影響力を発揮します。良いドメイン名を選ぶには、発音しやすく覚えやすいか、文字数が短いかなど、いくつか考慮すべきポイントがあります。この記事では、あらゆるウェブサイトに必要なドメイン名の選び方を、11のステップで解説していきます。
目次
1. 短く、簡潔で、ブランド名に関連したドメイン名を選ぶ
ドメイン名は「短く、簡潔で、記憶に残る」ものほどよいとされています。ブランド名が短く、そのままドメイン名にできそうなら、ブランド名と同一のドメインを取得するのがベストです。ドメイン名とブランド名が同一であれば、ビジネスとウェブサイトの関連性が一目でわかり、ブランド名を覚えてもらうことにもつながります。
ブランド名をそのままドメイン名にできない場合は、次のポイントに気をつけて、ブランド名に関連したドメインを取得しましょう。
- ドメイン名はできるだけ15文字以内におさめる
- 複雑な綴りの単語を避ける
- 「U」を「you」の代わりに使うなど、特殊な表記は避ける
- 「children’s wear(子どもの服)」が「childrenswear(子どもが罵る)」となるような、意図しない単語の結合を避ける
たとえば、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)のオンラインストアは、thelacmastore.org というドメイン名を使用しています。ストアの正式な名称をスペースなしで書くと「thelacountymuseumofartstore.org」というように、複雑で読みづらくなってしまうため、ドメイン名は美術館のブランドを反映しつつ、短く覚えやすいものを使用しているのです。
またアクセサリーブランドのBikoは、ilovebiko.com のように前に言葉を足したドメイン名にしています。ページにアクセスする訪問者がブランドに対してポジティブなイメージを抱きやすくなるため、ブランド名を単独でドメインに使用できない場合の代替案としても効果的です。
2. ハイフンや記号、数字を含めない
顧客がドメインを間違えて入力する可能性を少しでも減らすために、ドメイン名にはハイフンや記号、数字を含めないようにしましょう。アルファベットのみのドメイン名は、モバイルデバイスを使用しているユーザーにも親切です。スマホでURLを入力するときは、アルファベットと数字のキーボードを切り替える必要があるため、ハイフンや記号、数字を含むドメインはそもそも入力しづらく、タイプミスやスペルミスが発生する可能性も高いです。次のようなドメイン名はなるべく避けましょう。
- 数字を文字に入れ込んだドメイン:c00ld0main.com など
- ハイフンを含むドメイン:cool-domain.com など
- “cool”をkl、“for”を4にするなど、省略語が多用されているドメイン:kldomain4u.com など
- 同じ文字が2つ以上続き、意味が取りづらいドメイン:coolesttopdomain.com など
ただし、そもそもブランド名に数字が含まれている場合は例外です。たとえば、アパレルブランドの「3sixteen」は、ドメイン名として「3sixteen.com」を使用しています。これはブランド名やSNSのアカウント名、グッズなどと一貫性があるため、数字によって混乱することなく認知されやすいドメイン名になっています。
3. 適切なトップ・レベル・ドメインを選ぶ
ドメイン名の末尾にあるTLD(トップ・レベル・ドメイン)は、まず「.com」を選ぶのがおすすめです。「.com」は世界中で約70%のウェブサイトが使用している人気のTLDです。スマートフォンに「.com」キーがあるため、ユーザーがドメインを入力しやすいという利点もあります。
ただし、他のTLDを選ぶほうがいい場合もあります。たとえば、「ブランド名.com」のドメイン料金が高額で、「ブランド名.net」の方が手ごろな価格であれば、そちらを選ぶ方が現実的です。また、日本国内のみで商品を販売する場合、国を対象に付与されている固有のトップ・レベル・ドメインである「.jp」を選ぶと、日本国内に特化したサイトとして認識されやすくなります。
ビジネス内容やターゲット層に応じて、以下のようなTLDが選択できます。
- .net:.comが取得できないときの、第二の選択肢
- .jp:日本向けTLD(他のTLD同様、日本在住者以外も取得可能)
- .tokyo :東京向けTLD(他のTLD同様、東京在住者以外も取得可能)
- .org:非営利団体向けTLD
- .xyz:意味をもたないため汎用的に使用できる。初年度費用が安いため、悪意のあるサイトに使われていることも多い
- .shop:ECサイトに特化した、わかりやすいTLD
- .store:個人事業主やオンラインショップ向けTLD
- .trade:卸売業やB2BのECサイト向けTLD
さらに、海外販売を検討する場合は、販売先の国のTLDを利用するのもひとつのアイディアです。Shopifyでは、ひとつのアカウントで、複数の国や地域向けのドメインを設定することも可能です。
4. SEOキーワードを含める
訪問者が検索エンジンでサイトを探す際に入力する単語、いわゆるSEOキーワードのうち、主要なものを入れるのも効果的です。ドメインにキーワードを含めると、検索エンジンに対して、サイトの内容を伝えやすくなります。不自然にならないように、キーワードをいれこみましょう。
おすすめの方法は、ブランド名に、商品を表すキーワードを足すことです。次のような例が考えられます。
- Sundayというアパレルブランド:Sunday + clothing = sundayclothing.com
- Diane’sというキャンドル販売店:Diane’s + candles = dianescandles.com
- Cosmikというマスク販売店:Cosmik + masks = cosmikmasks.com
実際にある例としては、カリフォルニア州サンタクルーズ発のコーヒーブランド「Verve Coffee Roasters」の「vervecoffee.com」というドメイン名があります。ブランド名である「Verve」と商品を表す「Coffee」を両方カバーしています。覚えやすく、ビジネスの内容を想起させるドメイン名です。
キーワードは1~2個にとどめるようにしてください。多すぎるとスパムと勘違いされる可能性があります。
また、ブランド名が日本語であり、国内へ向けた販売しか行わないという場合、日本語の表記をそのままドメインにする日本語ドメインを取得するという選択肢もあります。
5. 事業の未来を考えたドメイン名を選ぶ
ビジネスが進む方向を見据え、将来的な成長にも対応できるようなドメイン名を選びましょう。
たとえば、花を取り扱う店が「cityflowers.com」というドメイン名を選んだ場合、花以外の商品を取り扱うとき誤解が生まれやすくなってしまいます。代わりに「cityblooms.com」などの名前にしておけば、関連商品の販売もしやすくなります。
また、新たにビジネスを始めるためのドメイン料金をかけられないという場合、Shopifyであれば「.myshopify.com」のサブドメインを使うことで、ドメイン費用をかけずにスタートできます。専用のドメイン自体は、ビジネスが成長してから、改めて取得するという選択肢もあります。
6. ドメイン名ジェネレーターでアイディアを得る
これまでの方法をためしても、やはりドメイン名が決められない場合、Shopifyの無料ドメイン名ジェネレーターを使ってみるのもいいでしょう。キーワードを入力すると、関連するドメイン名を複数提案してくれます。
7. 希望するドメイン名が登録できるか確認する
ドメイン名の候補を決めたら、そのドメイン名がすでに登録されていないか確認しましょう。
Shopifyのドメイン名検索と空き状況確認のページで、希望のドメインが利用可能か確認できます。ドメイン名は世界共通なので、ひとつのプロバイダーで利用不可であればすべてのプロバイダーで利用ができません。
理想的なドメインが既に使用されている場合であっても、ドメインの利用状況によっては、購入できることもあります。多くのドメインを所有する企業であれば、交渉に応じてくれる場合もあります。ドメインが既に取得されている場合は、WHOIS(フーイズ)検索で所有者の連絡先を調べ、購入できないか相談してみましょう。ドメイン仲介サービスなどに、交渉を代行してもらうことも可能です。
8. 類似のドメイン名が使用されていないか確認する
類似のドメイン名が使用されていないか、使用されているとしたらどんなブランドに使用されているか確認しておくことも重要です。ドメイン名が同じ業界や分野の既存のブランドで使用されている場合、競合他社と混同されてしまったり、商標権の問題が発生したりする可能性があります。
類似のドメインをどんなユーザーが使用しているか知るにも、WHOIS(フーイズ)検索が有効です。ドメインが使用されているIPアドレスや、登録日、登録者などに関する情報を調べることができます。
ほかにも、次の方法で、類似のドメインを使っているブランドがないか調べましょう。
- 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat):商標データベースで、同一あるいは類似の商標が登録されていないか確認します。
- SNSをチェック:Instagram(インスタグラム)、Facebook(フェイスブック)、TikTok(ティックトック)などの主要なソーシャルメディアでも、類似の名前を使っているビジネスがないか確認します。
- Google検索:Googleで希望のドメイン名を検索し、他のブランドが、類似のドメインを使用していないか確認します。
9. 中古ドメインを探す
ブランドにぴったりのドメインが既に他の人に取得されている場合は、オークションサイトやドメイン用のマーケットプレイスを調べてみるのもいいでしょう。利用されていないドメインが売りに出されていることがあります。
中古ドメインを購入する場合は、ドメイン履歴を確認しましょう。長く使われた中古ドメインはSEOでの利点を持つことがあります。反対に、過去にそのドメインを利用していたウェブサイトに悪い評価がついていた場合、評価がそのまま引き継がれて、SEOで不利になることがあるので注意してください。
10. ドメイン取得サービスを選び、価格を確認する
ドメイン名の取得とドメイン登録を代行してくれるドメイン取得サービスはたくさんあります。サービス提供歴の長い事業者は、取引実績も多く、評判がいい傾向にあります。ほかに、次のような要素にも気をつけてサービスを選びましょう。
ドメインの更新オプション
初年度の価格が安い場合、更新料金が高く設定されていることがあります。更新料金や更新手続きの条件を必ず確認し、更新日を忘れないようにリマインダーを設定しておきましょう。自動更新オプションがあれば、期限切れによるドメイン喪失のリスクを防ぐことができます。
プライバシーとセキュリティ機能
多くのドメイン登録サービスでは、WHOISプライバシーといったセキュリティ機能を提供しています。この機能を使うと、公開データベースに表示される個人情報をプロキシサービスの情報に置き換えることができます。
また、選んだドメインがSSL暗号化に対応しているかも確認しましょう。これらのセキュリティ機能を標準装備しているサービスなら、ウェブサイトの安全性を確保したうえでビジネスを立ち上げることが可能です。
11. 類似ドメインを複数確保する
メインのドメインを確保した後、余裕があれば、似た名前のドメインを複数追加で購入しておくとブランドの保護に役立ちます。たとえば、ちょっとしたスペルミスのドメインなどを購入しておくと、競合が似たドメインを取得するのを防ぐことができます。また、国別のTLDを確保しておけば、異なる地域にビジネスを拡大したときに役立ちます。
Shopifyでは、1つのアドレスをメインドメインに設定し、他のドメインをメインドメインにリダイレクトすることができるので、訪問者をスムーズにメインサイトに誘導することが可能です。
まとめ
ドメイン名は、URLの一部というだけではなく、会社やブランドの一部として、ブランドの印象を左右します。
理想のドメイン名が使えない場合でも、シンプルで覚えやすく、サイトの目的を反映した名前を選ぶことで、ブランドの認知度が高まります。まずは15文字以内で記号や数字を避けたシンプルな名前を選ぶのが基本です。TLD(トップ・レベル・ドメイン)は、「.com」がおすすめですが、予算やマーケットに合わせて、適切なものを選びましょう。ECサイトであれば、商品を想起させるSEOキーワードを含めることで、検索エンジンからの流入も期待できます。希望のドメイン名がすでに使用されている場合は、TLDを変えるなど、類似のドメインが使用可能か確認しましょう。中古ドメインの購入を検討するのもいいでしょう。
自分のビジネスにあったドメインを取得して、ビジネスをスタートさせましょう。
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ドメインの決め方についてのよくある質問
独自ドメインが重要な理由とは?
独自ドメインは、ブランドの信頼性とプロフェッショナルな印象を高めるために重要です。独自ドメインを使うことで、訪問者のビジネスへの信頼感を高めることができます。また、検索エンジンからの評価が高まりやすいため、SEOにも効果があり、ウェブサイトの訪問者数を伸ばしやすくなる可能性があります。
さらに、独自ドメインを使えば、メールアドレスも「@ブランド名.com」のように統一することが可能です。
希望のドメインが既に利用されている場合どうする?
- TLDを変更したドメインの使用を検討する
- キーワードを追加するなどして類似のドメイン名を考える
- 中古ドメインのマーケットプレイスを探す
- WHOIS検索で所有者を調べ、購入できないか交渉する
ECサイトのドメインを取得する方法は?
ECサイトのドメインを取得する方法としては、Shopifyがおすすめです。Shopifyでは、ドメインの取得からECサイトの運営・管理まで、一箇所で行うことができます。Shopifyでドメイン登録をすれば、取得したドメインをShopifyでつくったECサイトとすぐにつなげることが可能です。
文:Taeko Adachi