Google広告の種類と費用相場、どのようなビジネスに合っているかなどを、各キャンペーンごとに解説します。用途と予算に合ったGoogle広告の形態を見つける参考にしてください。
Google広告とは?

Google(グーグル)広告とは、Googleで検索したときや、YouTube(ユーチューブ)、Gmail(ジーメール)、他のウェブサイトなどに広告を表示できるウェブ広告プラットフォームです。世界最大級の検索エンジンであるGoogleとYouTubeのユーザーにアプローチでき、数百万件のウェブサイトにも広告を掲載できるので、上手に活用すれば大きな成果を得ることができます。
Google広告にはさまざまな種類があり、業態や目的によって最適なキャンペーンタイプや戦略は変わります。この記事では、Google広告のキャンペーンを種類別で紹介し、その特徴や費用をまとめました。
Google広告を完全攻略:22種類の広告キャンペーン

Google広告は、広告タイプや掲載先、ターゲット、予算といった戦略を「キャンペーン」という形で設定することができます。検索広告、ディスプレイ広告、動画広告といった代表的なキャンペーンタイプと、その具体的な活用方法に分類し、それぞれの特徴をご紹介します。
検索広告
Googleの検索結果にテキスト表示されるのが、検索広告です。ユーザーは検索エンジンを利用するとき、問題の解決方法や特定の商品など、明確な答えを求めています。その答えのひとつとして、ビジネスを提示できる強力なマーケティングツールが検索広告です。
検索広告では、検索キーワードに入札価格を設定して、1クリックごとの単価を決定します。入札価格を高く設定すれば広告は表示されやすくなりますが、検索される回数が多ければ競合も多くなるため単価は上がり、逆にニッチなキーワードであるほど単価は下がります。
具体的な金額は業種や競合状況によって変化しているため、正確なクリック単価(CPC)はGoogleが提供する無料ツール「キーワードプランナー」を利用して調べることができます。
また、検索広告でのキャンペーンを効果的に運用するためには、キーワードと広告内容の関連性などに基づく「品質スコア」を高めることも効果的です。キーワードや広告内容、入札価格は、「広告グループ」という形で設定しておきます。商品やテーマごとに広告グループを細かく分けると、よりターゲットにマッチした広告を表示できるため広告の品質スコアが高まり、費用を抑えることにもつながります。
1. ブランドキーワード
- 目的:自社のブランドを検索したユーザーを確実にサイトへ誘導する
- ユーザーとの関連性:高
- 単価:低
- おすすめ対象:全事業者
- 難易度:低〜中。他の広告と比較すると運用負担は低め。検索広告の知識がないと難しい場合もあるが、リソースがあるなら優先的に実施すべき
ブランドキーワードとは、具体的なブランド名や商品名が含まれるキーワードです。例えば、「ユニクロ アウター」や「ウルトラライトダウン」はそれぞれユニクロのブランドキーワードにあたります。指名キーワードとも呼ばれます。
ブランドキーワードで広告が表示されるユーザーは、すでにブランド名や商品名で検索をしているので、関心が高く、コンバージョン率も高いことが予想されます。ブランドキーワードのキャンペーンは予算があれば、優先的に実施しましょう。
自社のECサイトのSEO対策が成功しており、検索結果ですでに上位に表示されている場合、ブランドキーワードで広告を出す必要はないと思えるかもしれませんが、次のようなメリットがあります。
- 特定の商品やセール情報を強調できる
- ユーザーをキーワードに関連したページへ正確に誘導できる
- 競合が自社のブランドキーワードに入札して広告を出すのを防ぐ
また、ブランドキーワードの検索広告は、一般的に他の検索広告よりもCPCが低い傾向にあります。
ただし、意図しないキーワードで広告が表示されるリスクには注意が必要です。例えば、Apple(会社)がiPhoneの広告を出す時、ただの「Apple」をキーワードに設定すると「Apple pie(アップルパイ)」のように、iPhoneと無関係なキーワードでも広告が表示されてしまいます。キーワードそのものや、キーワードのマッチタイプ、除外キーワードを適切に設定することが必要です。
ブランド名や商品名で検索する人の数が多ければ、この種の検索広告の効果は高まるので、ポップアップストアやSNSマーケティングなど、ブランドの認知度を高める施策と組み合わせると、広告の効果を最大化できます。
2. ジェネリックキーワード
- 目的:ブランドを認知していないが、自社の商品を購入する可能性のあるユーザー層に認知を広げる
- ユーザーとの関連性:低〜中
- 単価: 中〜高
- おすすめ対象:新規顧客の獲得や売上拡大を重視するブランド
- 難易度:高。広告のデザインなど、調整を繰り返しながら運用する必要があり、予算が必要。適切に運用するためには、専門知識のある人材の雇用や、広告代理店などへの委託が必要
ブランド名や商品名を含まない、ジェネリックキーワードをターゲットにして検索広告を出すこともできます。ジェネリックキーワードは、商品の一般的な名称を表すキーワードであり、非指名キーワードとも呼ばれます。例えば、よく眠れる羽毛の枕を販売しているのであれば「枕」「羽毛枕」などがジェネリックキーワードにあたります。
より一般的なキーワードを使用し、まだブランドを認知していないものの、商品カテゴリには関心があるといった新規顧客の獲得をねらうため、ブランドキーワードと比較するとユーザーの関心度は低く、CPCが高くなる傾向があります。
3. ニッチキーワード
- 目的:ニッチな商品を求める特定のユーザー層にアプローチする
- ユーザーとの関連性:中〜高
- 単価:中〜高
- おすすめ対象:ニッチな商品を扱っているブランド
- 難易度:中。適切なキーワードの選定や広告の最適化が求められるため、継続的な調整が必要
ニッチキーワードとは、ニッチ市場をターゲットにした商品に有効な、具体的な内容や条件を含むキーワードです。例えば、「三大アレルギー対応 オーガニックケーキ 冷凍」「昭和レトロ ミルクガラス 食器」など、複数語の組み合わせからなることが多いです。短期的には検索される回数は少なくても、特定のユーザー層から長期にわたってたびたび検索されるため、ロングテールキーワードと呼ばれることもあります。
販売している商品がニッチ市場をターゲットとしているなら、ニッチキーワードの検索広告は優先的に実施することをおすすめします。ジェネリックキーワードよりもターゲットがより具体的であるため、ユーザーの検索意図と合致する可能性が高く、集客につながりやすい傾向にあります。
ニッチキーワードはジェネリックキーワードと同じカテゴリに分類されることもありますが、競争の少なさや広告の関連性の高さを考えると、独立した広告キャンペーンとして運用するほうが効果的です。
4. 競合他社キーワード
- 目的:競合について検索しているユーザーからの顧客流入
- ユーザーとの関連性:低
- 単価:中〜高
- おすすめ対象:すでに収益性の高い広告キャンペーンを運用しており新規顧客の獲得に積極的な事業者、平均注文額が高い・定期的なリピート購入が期待できるなど顧客生涯価値(LTV)が高い事業者
- 難易度:高。競争が激しいため費用も高くなる傾向があり、専門知識が必要
競合のキーワードで広告を出し、自社商品を検討してもらう手法です。競合ブランドが自社のブランドキーワードで広告を出していない場合や、競合の顧客のロイヤルティが低い場合に有効です。
ただし、CPCが高くなりやすく、ユーザーの検索意図とずれる可能性があるため注意が必要です。すでに収益性の高いキャンペーンを運用し、新規顧客の獲得を強化したい場合に活用しましょう。競合ブランドからの顧客流入をねらうため、競合ブランドと大きく異なる商品を広告に表示してしまうと、クリックされにくいため、注意が必要です。
5. 動的検索広告(DSA)
- 目的:新規顧客の獲得、有効なキーワードの特定
- ユーザーとの関連性:中〜高
- 単価:中。キーワードごとの入札額や競争状況による
- おすすめ対象:商品数が多いECサイト、大量のコンテンツを持つサイト
- 難易度:中〜高。設定自体は比較的簡単だが、意図しない検索キーワードで広告が表示される可能性があるため、除外キーワードの設定やモニタリングが必要
動的検索広告(DSA)は、ウェブサイトのコンテンツをもとにGoogleが自動で検索広告を作成し表示する仕組みです。通常の検索広告と異なり、広告主がキーワードを手動で設定する必要はありません。検索されたキーワードに対し、適切なページをGoogleが広告化して表示します。
例えば、ハンドメイドアクセサリーのECサイトで「シルバーリング」の商品ページがある場合、Googleは「シルバーリング 手作り」「シンプルな指輪 購入」などの検索語に対して自動的に広告を配信します。
DSAを効果的に活用するには、広告の配信対象となるページを適切に設定することが重要です。会社概要やプライバシーポリシーなど、関係のないページが広告になると、ユーザーのニーズと合致せず、広告の効果が下がってしまいます。特定のページのみを対象にする設定や、除外キーワードを設定することで、意図しない検索語への広告表示を防ぎ、無駄な広告費を削減できます。
また、DSAは新しい検索語を発見する手段としても有効です。ユーザーがどのようなキーワードで自社のウェブサイトにアクセスするかを把握できれば、手動でキーワードを設定する検索広告キャンペーンの最適化に活用できます。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告では、潜在顧客に向けて視覚的に訴えることができます。ユーザーがウェブサイトを閲覧したり、アプリを利用したり、動画を視聴したりしているときに、テキストのほか画像や動画なども活用したバナー形式で表示されます。
また、検索エンジンの結果ページ以外の場所に表示できることも特徴で、YouTube、GmailなどGoogleの所有するサービスのほか、Googleディスプレイネットワーク(GDN)を通じた3,500万以上のウェブサイトやアプリで、ディスプレイ広告を配信することができます。
6. オーディエンスターゲティング
- 目的:興味や関心が近いユーザーからの認知獲得
- ユーザーとの関連性:低〜中
- 単価:低〜中
- おすすめ対象:ターゲット市場に適したトピックや関心カテゴリーを特定できているブランド
- 難易度:低〜中。設定は比較的簡単
ディスプレイ広告では、ユーザーの属性や興味・関心に基づいて広告の配信先を絞り込むことができます。ターゲットの設定では、ユーザーの趣味・関心を推測する「アフィニティカテゴリ」と、「購買意向」の強いオーディエンス(見込み顧客となるユーザー)のセグメントを活用すると効果的です。
Googleはユーザーのウェブサイト閲覧履歴や検索履歴を分析し、「スポーツファン」「料理愛好家」など、全126個のアフィニティカテゴリに分類しています。例えば、アフィニティカテゴリとして「アウトドア」を選択すれば、継続的にアウトドアについて検索し、キャンプや登山に関心を持つユーザーに広告を表示することができます。
また、「購買意向」の強いオーディエンスのセグメントとは、特定の商品を積極的に比較・検討しているユーザーを抽出する手法です。例えば、「高性能ノートパソコン」について頻繁に検索し、比較サイトを閲覧しているユーザーは、近い将来ノートパソコンを購入する可能性が高いため、購買意向の強いオーディエンスとして認識されます。
ユーザーに基づくターゲティング広告では、次のポイントに注意しましょう。
- 入札額を控えめに設定する:広範なユーザー層をターゲットとすると、リーチ数が増える一方で、広告費が膨らんでしまう可能性があります。低めの入札額から開始し、効果を見て調整しましょう。
- デモグラフィックデータで絞り込む:性別、年齢、住所などのユーザー属性と組み合わせると精度が高まります。
- リマーケティングを行う:以前に広告をクリックしたユーザーへ再度アプローチする、リマーケティングを行うことで、コンバージョン率の向上が期待できます。
7. コンテキストターゲティング
- 目的:関連性の深いウェブサイトを閲覧しているユーザーからの認知獲得
- ユーザーとの関連性:中〜高
- 単価:低〜中
- おすすめ対象:特定のキーワードやテーマに関連する商品を提供している企業
- 難易度:低〜中。関連性の高いキーワードやトピックの選定が必要
コンテキストに基づくターゲティング広告では、特定のキーワードを含んだコンテンツのウェブページを広告の配信先として設定します。例えば、ユーザーが料理レシピサイトを見ている時に、調理器具の広告を表示でき、ユーザーの関心に合った広告を届けることで自然に商品を認知してもらいやすくなります。
個人の行動履歴を使わず、ページ内容をもとに配信されるため、プライバシー保護の観点でも安心です。ただし、掲載ページの内容に依存するため、ユーザーの購買意欲を正確に把握しにくく、競合の広告と並んでしまうこともあります。
8. 配置指定ターゲティング
- 目的:広告の配信先となるページを限定し、狙ったユーザー層への確実なアプローチ
- ユーザーとの関連性:中〜高
- 単価:中
- おすすめ対象:特定のターゲット層に向けてブランドや商品を認知させたいブランド、特定の業界サイトや専門メディアに広告を掲載したいブランド
- 難易度:中。適切な配置先を見極め、サイトごとに最適なデザインの広告を準備することが必要
配置指定ターゲティング広告は、GDN内の特定のウェブサイトやページを指定して広告を掲載する手法です。ターゲットとなるサイトを手動で選べるため、業界の専門メディアなどに配信すれば、狙ったユーザー層に効率よくリーチできます。
広告の表示場所を細かくコントロールできる点がメリットですが、人気の高いサイトでは競争が激しく、広告費が高騰する可能性があります。また、サイトのトラフィックにも依存するため、効果のばらつきが出ることもあります。ほかのディスプレイ広告と組み合わせながら、効果の高いサイトを見極め、最適化を進めることが重要です。
動画広告
Googleの動画広告は、YouTubeをはじめとするGoogleの動画ネットワークを活用し、視覚的に強いインパクトを与えながら商品やサービスを訴求できる広告フォーマットです。検索広告やディスプレイ広告と比べて、ストーリー性のある表現が可能で、ブランドの認知度向上にも適しています。
動画広告には、インストリーム広告(スキップ可・不可)、インフィード広告、バンパー広告、マストヘッド広告、YouTubeショート広告といった種類があり、それぞれ目的や特徴が異なります。
9. スキップ可能なインストリーム動画
- 目的:興味を持ったユーザーに動画を視聴してもらうことによる認知獲得
- ユーザーとの関連性:中〜高(視聴しているコンテンツと関連する広告を配信可能)
- 単価:低〜中。CPV(視聴単価)またはCPM(インプレッション単価)で加算
- おすすめ対象:ブランディングを強化したい企業、動画を活用して商品の魅力を伝えたい企業
- 難易度:中。動画制作が必要だが、比較的柔軟な運用が可能
インストリーム広告は、YouTubeの動画再生前・再生中・再生後に表示される広告です。5秒後にスキップ可能な設定にすると、冒頭で視聴者の興味を引く工夫が重要になります。
動画の長さは12秒〜3分が一般的で、30秒以上の視聴や広告内の操作時に料金が発生します。興味を持ったユーザーにのみリーチできる点が魅力ですが、スキップされる可能性もあるため、視聴者を引き込むクリエイティブが鍵となります。
視聴者に強制することなく、興味を持った人にだけリーチできる点が魅力です。
10. スキップ不可のインストリーム動画
- 目的:短時間で強いインパクトを与えることによる商品の認知度の向上
- ユーザーとの関連性:中〜高(視聴しているコンテンツと関連する広告を配信可能)
- 単価:中。CPMで加算
- おすすめ対象:ブランド認知を短期間で高めたい企業、短時間で訴求力のあるメッセージを伝えたい企業
- 難易度:中。動画制作が必要だが、短尺であるため負担は少ない
インストリーム広告は、15秒以下でスキップ不可の設定にすることができます。全編視聴が保証されるため、短時間で強い印象を与えるのに適しています。費用は、表示回数に応じて発生します。
スキップされる心配がない分、ブランド認知には効果的ですが、内容次第では視聴者に対し「強制的に見せられた」というネガティブな印象を与える可能性もあります。視覚的にインパクトのある映像やキャッチーなメッセージを活用することで、効果的な訴求が可能です。
短時間で伝えたい情報が明確な場合に特に向いています。
11. インフィード動画
- 目的:関連する動画コンテンツの周囲に広告を掲載し、ユーザーにブランドや商品の魅力を伝える
- ユーザーとの関連性:中〜高(視聴者が自発的に広告動画をクリックするため、関心度が高い)
- 単価:低〜中。CPCまたはCPVで加算。
- おすすめ対象:購買意欲の高いユーザーに訴求したい企業
- 難易度:中(動画制作が必要だが、視聴者の関心が高いため比較的運用しやすい)
インフィード動画広告は、YouTubeの検索結果や関連動画リスト、ホームフィードに表示される広告です。ユーザーがクリックすると動画が再生されます。
視聴者が広告視聴を自発的に選択するため、ブランドや商品のメッセージを効果的に伝えられる一方で、クリックされなければ再生されないため、サムネイル画像やタイトルの工夫が重要です。特に、新商品の紹介や詳細な説明を行う際に適しています。
12. バンパー広告
- 目的:視覚的なインパクトを与えることによる、ブランドの認知度の向上
- ユーザーとの関連性:中(スキップ不可のため、視聴者の興味を引く工夫が必要)。
- 単価:中。CPMで加算
- おすすめ対象:短時間でブランドメッセージを伝えたい企業、キャンペーンの認知度を高めたい企業。
- 難易度:低〜中(短尺動画の制作が必要だが、シンプルな内容で十分効果を発揮できる)。
バンパー広告は、YouTubeの動画コンテンツの間にスキップ不可の形で表示される6秒以内の短い動画広告です。短時間ながらも強い印象を残せるため、ブランド認知を高めたい場合に適しています。
シンプルかつインパクトのある映像表現が求められ、短い時間でもブランドや商品の魅力を伝えられるようにすることが重要です。キャンペーンの告知やイベントのプロモーション、新商品の紹介などに効果的です。
13. マストヘッド動画
- 目的:大規模な認知度向上
- ユーザーとの関連性:低〜中(YouTubeのトップページに表示されるため、広範囲のユーザーにリーチできるが、購買意欲が高いとは限らない)
- 費用:高。CPMまたは予約型広告として設定
- おすすめ対象:大規模なキャンペーンを実施したい企業
- 難易度:高。費用が高額になるため、十分な予算と戦略が必要
マストヘッド広告は、YouTubeのホーム画面上部に表示される自動再生広告です。最も目立つ位置に掲載されるため、大規模なプロモーションや新商品の発表に適しています。
短期間で多くのユーザーにリーチできますが、コストが高いため、予算に余裕がある企業向けの広告手法です。
14. YouTubeショート動画
- 目的:スマホユーザー、若年層からの認知の獲得
- ユーザーとの関連性:中(短尺動画を好む視聴者にアプローチ可能)
- 費用:低〜中。CPMで加算
- おすすめ対象:若年層向けの商品・サービスを提供する企業、短尺動画を活用したマーケティングを強化したい企業
- 難易度:中。縦型動画の制作が必要だが、ショート動画は比較的手軽に作成可能
YouTubeショートの広告は、短尺動画に特化したYouTubeショートのフィード内で配信される広告です。スマートフォンでの視聴が中心となるため、テロップを挿入した縦型動画が基本です。
トレンドを意識したコンテンツやエンタメ性のある動画、UGC(ユーザー生成コンテンツ)など、「広告っぽさ」が少ないもののほうが好まれる傾向にあります。若年層の顧客獲得に効果的です。
ショート動画は、短時間で視聴者の興味を引くための工夫が必要です。例えば、冒頭で目を引くビジュアルやキャッチコピーを入れることで、最後まで視聴してもらえる可能性が高まります。
その他の広告
15. P-MAX
- 目的:GoogleのAIを活用して、検索広告、ショッピング広告、ディスプレイ広告、YouTube広告などの統合的に運用による、成果の最大化
- ユーザーとの関連性:複数の広告フォーマットを統合するため、ターゲットによって異なる
- 単価:低〜中
- おすすめ対象:広告運用の手間を最小限に抑えながら成果を上げたい事業者、広告運用の初心者
- 難易度:低。AIによる自動最適化が行われるため、手動での調整は最小限
P-MAX広告(Performance Max Ads)は、GoogleのAIが広告の配信先や入札額、ターゲット選定を自動最適化し、複数のチャネルで広告運用を統合できるフォーマットです。例えばスニーカー販売なら、検索広告で「ランニングシューズ」を探すユーザーに訴求しつつ、ディスプレイ広告で過去のサイト訪問者にリターゲティング、YouTube広告で新規顧客にアプローチするなど、最適な手法を組み合わせて運用されます。
効果はブランド認知度やサイト訪問者数に左右され、リターゲティングの活用がしやすい企業に適しています。ただし、AIによる自動最適化のため、細かい調整が難しい点がデメリットです。成果が出たら、よりコントロールしやすい手動キャンペーンへ移行するのもいいでしょう。
16. デマンドジェネレーション
- 目的:視覚的なコンテンツでユーザーの関心を引くことによる、エンゲージメントの強化
- ユーザーとの関連性:低〜中
- 単価:中。CPMまたはCPCで加算
- おすすめ対象:動画や画像を活用したマーケティングを重視する企業など
- 難易度:中。広告デザインの作成は必要
デマンドジェネレーションは、視覚的な広告を活用し、潜在顧客の需要(デマンド)を喚起することを目的としています。ディスプレイ広告と似ていますが、新規ユーザーへの認知拡大に特化しており、YouTube(動画・ショート・ホームフィード)やGmail、GDNのほか、ユーザーのアクティビティ(検索やアプリ利用の履歴)に基づいてコンテンツを表示するGoogleの機能Discover(ディスカバー)にも配信可能です。画像・動画・カルーセル広告を活用でき、特に動画は高いエンゲージメントを期待できます
17. ショッピング広告
- 目的:購買意欲の高いユーザーへのアプローチ
- ユーザーとの関連性:高
- 単価:中。競争の激しいカテゴリでは高騰する可能性がある
- おすすめ対象:ECサイト全般
- 難易度:中。キーワード設定の手間は不要だが、商品フィードの最適化が必要
Googleショッピング広告は、検索結果に商品情報を直接表示し、購買意欲の高いユーザーにアプローチできる広告フォーマットです。キーワードを手動で設定せず、Google Merchant Center(グーグルマーチャントセンター)に登録した商品データ(商品名・価格・画像・在庫情報など)をもとに自動で広告が表示されます。
例えば、アパレルECサイトが「リネンシャツ」を登録すると、「リネンシャツ メンズ」「春用デニムジャケット」などの検索結果画面に、商品画像・価格・レビューとともに広告が掲載されます。キーワードを自由に設定できませんが、商品データを適切に管理し、検索されやすい情報を盛り込むことで、高い効果を発揮できます。
例えば、「ブルーボトルコーヒー ドリップバッグ」といった固有名詞だけではなく、「おしゃれ ドリップバッグコーヒー 手軽 本格派」など、一般的な検索語に対応するよう工夫すると、より多くのユーザーにリーチできます。
また適切に配信されるためには、商品フィードを定期的に更新し、価格や在庫情報を最新に保つことが重要です。データ更新の遅れは広告表示の制限につながるため、API連携や自動更新の設定を活用するとよいでしょう。
18. アプリ広告
- 目的:Google Playストアに掲載されているアプリのダウンロード促進
- ユーザーとの関連性:中〜高
- 単価:低
- おすすめ対象:自社のアプリを広めたい事業者、アプリのインストール数を増やしたい事業者
- 難易度:中。複数のプラットフォームに広告を配信するため管理がやや複雑
アプリ広告は、Google Playストアのアプリを宣伝するための広告手法です。インストール数などの目標を設定すると、それにあわせて、Google検索、YouTube、Google Playストア、GDNなどに広告が配信されます。
個別に広告を作成する必要はなく、広告文、画像、動画、アプリストア情報を提供すると、広告が自動で作成されます。設定もシンプルで、広告文、入札単価、予算、ターゲットの言語と地域を指定するだけで運用開始が可能です。
19. スマートアシスト
- 目的:広告運用の手間を最小限に抑えた集客と、売上の促進
- ユーザーとの関連性:中〜高
- 単価:低〜中(入札単価や予算はGoogleが自動調整)
- おすすめ対象:広告運用の専門知識がない中小企業、少ないリソースで広告を活用したい企業、実店舗がある事業
- 難易度:低。設定がシンプルで、広告運用の負担が少ない。
スマートアシストとは、Googleの機械学習を活用し、広告の運用を自動化する仕組みです。最適なタイミングやフォーマット、掲載先を自動で判断し、広告の成果を最大化します。
ビジネス情報、広告文、画像、予算を入力するだけで開始できるため、運用の負担は少ないです。特にGoogleマップに広告を表示できるため、実店舗の集客に適しています。
手軽な反面、細かいターゲティングや調整ができないというデメリットはあるので、他のキャンペーンとの併用も検討しましょう。
20. 電話専用広告
- 目的:電話での問い合わせや予約、成約の増加
- ユーザーとの関連性:高
- 単価:中。クリックごとに課金され、通話が発生しなくても費用が発生する
- おすすめ対象:電話での問い合わせや予約が重要な業種(飲食店、修理・メンテナンス、医療機関、法律相談、BtoBサービスなど)
- 難易度:低〜中。設定はシンプルだが、営業時間や応答体制は要考慮
電話キャンペーンは、検索広告に通話ボタンを表示し、ユーザーが直接電話で問い合わせできるようにする広告形式です。検索時点でサービスや商品に関心があり、すぐに連絡を取りたいユーザーが対象であり、即通話に繋がるため、短期間でのコンバージョン獲得に有効です。
広告に電話キャンペーンを表示させる時間帯を指定できるため、応対が可能な時間だけに限定しておくことができます。ただし、通話の有無に関わらずクリック時に課金される点には注意が必要です。
21. ホテル広告
- 目的:宿泊地の公式サイトからの予約促進
- ユーザーとの関連性:高
- 単価:中〜高
- おすすめ対象:ホテル・旅館・民泊などの宿泊施設の運営会社、公式サイトからの直接予約を増やしたい事業者
- 難易度:中〜高(Google Hotel Centerとの連携や、適切な料金データの管理が必要)
ホテルキャンペーンは、Google検索やGoogleマップ、Googleトラベルなどに宿泊施設の料金や空室状況をリアルタイムで表示する広告です。旅行を計画中のユーザーに対して、最適なタイミングで情報を提供し、公式サイトからの予約につなげます。
宿泊施設の写真や詳細情報、料金の比較表が表示されるため、視覚的にわかりやすく、ユーザーに予約を促しやすくなります。運用には、Google Hotel Center(グーグルホテルセンター)への登録が必須です。
22. おすすめスポット
- 目的:実店舗への来店促進
- ユーザーとの関連性:高
- 単価:低〜中。CPCまたはCPA(アクション単価)を選択可能
- おすすめ対象:実店舗を運営しているビジネスなど
- 難易度:中。Googleビジネスプロフィールとの連携や、広告の最適化が必要
おすすめスポット広告は、GoogleマップやGoogle検索のローカル検索結果に表示される広告です。ユーザーが「近くのカフェ」などの検索をすると、地図上に広告付きで店舗情報が表示され、来店のきっかけが作れます。
広告は通常の店舗リスティングと同じように表示されますが、「広告」と明示され、目立つ位置に表示されます。
運用には、Googleビジネスプロフィールとの連携が必須です。特定のエリアやターゲット層に対して広告を表示できるため、来店見込みの高いユーザーにリーチしやすくなります。
まとめ
Google広告には、検索広告・ディスプレイ広告・動画広告・ショッピング広告・P-MAX広告など、多様なキャンペーンタイプがあり、それぞれに適した活用方法があります。
ターゲットの検索意図を予測し、行動データを活用し、最適な広告フォーマットを選ぶことで、効果的な運用が可能になります。目的や予算に応じて適切なキャンペーンを選び、継続的に調整することで、広告のパフォーマンスを最大化していきましょう。
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よくある質問
Google広告は無料ですか?
Googleビジネスプロフィールなど無料集客サービスもありますが、Google広告として掲載する場合は利用料金がかかります。広告がクリックされたり、表示されたりするたびに費用が発生し、あらかじめ設定しておいた予算内で運用することができます。
Google広告の料金の仕組みは?
Google広告の料金は、次のいずれかの単価で計算されることが多いです。
- CPC(クリック単価):広告がクリックされるたびに課金される方式です。1クリックあたりの費用は、キーワードや競争度によって異なり、日本国内の平均単価は約50〜300円ほどです。ただし、人気のキーワード(金融系、不動産、保険など)では1クリックが数百〜数千円になることもあります。
- CPM(インプレッション単価):表示回数1,000回ごとに課金される方式です。ディスプレイ広告や動画広告などのキャンペーンタイプで使われています。単価は、数百〜数千円程度になります。
- CPA(アクション単価):商品の購入や問い合わせ、資料請求などの特定の成果(アクション)があった場合に課金される方式です。成果ごとに課金されるため、広告主にとってはリスクが低く、効率的な広告運用ができます。単価は、一般的に数百~数千円程度になります。
文:Taeko Adachi イラスト:Eugenia Mello